夏の水槽用クーラーの使用上の注意
どうも海水アクアリウム初心者の千日です。
初心者による初心者の為の海水アクアリウムのノウハウ…皆様の生温かい目と広い心が更新の原動力ですm(_ _)m今日は夏場の水槽用クーラーを使用する上での注意点です。
アクアリウムのクーラーは設置すれば安心、というものではありません。生体が局所的に冷たい水流に晒されていないか、注意が必要です。
夏は小型水槽のサンゴにとっては受難の季節です
小型水槽について水槽用のクーラーが必需品です。過去の記事でも書きましたが、できるだけクーラーの作動時間が短く済むように、オーバースペックぎみのクーラーを設置することをお勧めします。
クーラーの周りに出来るだけ物を置かない
千日の水槽のクーラーです。クーラーの周りは出来るだけものを置かないようにして冷却ファンの効率を上げてます。
さらに暑い日は小型のファン(写真下の方)を回してます。
海水水槽、特にサンゴ飼育でクーラーが必要な理由
- 珊瑚礁は河川と違って温度変化がない
- だから海の生き物は温度変化に対応するように進化していない
- サンゴは原始からその姿を変えていない、最も温度変化に敏感
これらの理由から、年中飼育水の水温を25度前後に固定する必要があるのです。ハードコーラルのLPSは比較的高い水温に鈍感であり30度の高水温でも耐えたという記録もありますが、ソフトコーラルは高水温に弱く30度にまでなるとほぼ全滅します。
誤解してはいけないポイントがあります
LPSサンゴが高水温に強い(鈍感)とはいっても、それは徐々に水温が上昇する場合にある程度耐えられたということです。
急激な水温の上昇と下降はどんなサンゴ(海洋生物全般)にも大きなストレスになるんです。
クーラーによる温度調節とヒーターによる温度調節の違いを理解する
あらかじめ断わっておきますが…
- クーラーは冷やす
- ヒーターは温める
のはあたりまえです。そういうことではありません。
- クーラーは排水パイプから冷たい水が噴出する。その冷水が噴出した勢いで混ざり合うことで水槽全体の水温が下がる
- ヒーターは発熱することでその周辺の水温がジワジワ上がる。その温水が水槽内の水流で混ざり合うことで水槽全体の水温が上がる
要約するとクーラーは冷水の勢いで混ざり合うのに対し、ヒーターは周りの飼育水の水流で混ざり合うんです。
いかがでしょうか?違うでしょ?
クーラーによる冷水ショック
少し前ですがアイス•バケツ•チャレンジというチャリティー運動が流行りましたよね。温度調節能力のない海洋生物にとってクーラーから噴出する冷水に当たることは、人間がバケツいっぱいの氷水を頭からかぶることに等しいのではないでしょうか。
夏になると1日に何度も断続的にクーラーが作動します。このペースで人間が氷水をかぶってたら、衰弱して死んでしまうでしょう。
どの位の温度差があるのか実際に測定してみました
下の写真はクーラーが停止した時点のデジタル水温計です。
- 向かって左はクーラーからの冷水が直接当たる所の水温
- 向かって右は水槽の中央あたりの水温
最大で0.3度の水温差が発生していることがわかりました。僅かな差ですが、この水温差が急に来るのがサンゴにどんな影響を及ぼすのか?
こればっかりはサンゴに聞いてみないとわかりませんね(^_^)a
クーラーを設置する際は排水パイプの向きとサンゴの位置、水温センサーの位置に注意しましょう
①排水パイプの向きとサンゴの位置
サンゴは自ら移動する手段を持ちません。排水パイプからの水流が直に当たる場所は避けましょう。もともと水流が直に当たる場所は良くないです。
また、直には当たらなくてもガラス面に反射した水流が当たる場所もけして良くはないです。1cmでもガラス面から離すようにしましょう。少しの差でも水温はずいぶん違ってきます。
②排水パイプの向きと水温センサーの位置
排水パイプの向きと水温センサーの位置についてはクーラーの説明書にも書いてあると思いますが、排水パイプからの冷水が直に当たる場所はダメです。
水槽全体を冷やす前にクーラーが作動停止します。そしてセンサーの周りの温度はまたすぐ上昇しますので、またクーラーが作動する…を繰り返すことになります。
コハナガタサンゴに止めを刺したレイアウト変更の失敗
少し前に公開した記事ですが、コハナガタサンゴとの別れの記事です。
今、この記事を書いていて気付いたのですが、レイアウト変更がやはりコハナガタサンゴに止めを刺してしまったようです。
コハナガタサンゴを移した先はクーラーからの冷水が出てくる排出口の水がガラス面に跳ね返ってすぐ当たる場所だったのです。
下の写真を見て下さい。コハナガタサンゴの共肉の溶けて骨格が出た部分は水流が当たる側=手前の右側から進行しています。
0.3度という水温差は、元気なときは問題無かった程度の差だったのかもしれませんが、これがトリガーになった可能性は否定できません。
季節が夏じゃなければコハナガタサンゴは生き延びられたかもしれません
今回は手遅れでしたが、今後の飼育に活かして行くと同時に、ブログを読んで下さった皆さんと情報を共有したいと思います。
今日の水槽全景
周りから溶けかかっていたメタリックグリーンのカクオオトゲキクメイシはスポット照明を調節してから少し持ち直しました。
前回記事『カクオオトゲキクメイシが溶け始めました!』
やれやれです。クローズアップ写真の比較です。
2015年7月7日撮影(写り込もうとするジョーフィッシュ)
2015年7月10日撮影(前からなかなかどかないジョーフィッシュ)
やはり夏は小型水槽のサンゴには受難の季節ですね。