千日太郎のアクアライフ

千日太郎が海水アクアリウムの始め方、海水魚とサンゴの上手な飼育法を初心者向けに分かりやすく解説します

海水魚の口腐れ病にジョーフィッシュがかかりました

口腐れ病の症状 写真と動画

どうも海水アクアリウム初心者の千日です。突然ですが、ウチのイエローヘッドジョーフィッシュが口腐れ病に罹ってしまったようです。
 
これはかなりのピンチです。

海水魚の口腐れ病とは滑走細菌

滑走細菌症菌の一種が口唇部に寄生して起こる病気です。尾びれにも寄生することがあり、その場合には尾腐れ病と呼ばれます。
 
この滑走細菌の発育は海水温30度、pH7が最適で、淡水魚がかかるカラムナリス病菌などとは違うものだと分類されています。
 
この細菌はタンパク質を分解しデンプンなどの多糖類を分解せず、細菌を溶解する作用があります。つまり、寄生した海水魚のタンパク質を溶かしてしまう恐ろしい病原菌なんです。
 
症状は稚魚では口唇部、尾びれなど寄生した場所に糜爛(びらん)や壊死(えし)又は崩壊などが起こり、幼魚や成魚ではエラや身体に発赤や潰瘍が見られるそうです。
 
 

口唇部のクローズアップ写真

右側の赤く囲った部分、上アゴが崩れて下がってきています。
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口が左右対象ではなくなっていますよね。
 

正常な口唇部

似たアングルはこれくらいしかありませんでした。写真では、よーく見て見ないと分からない変化です。
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現在はこの時のようにぴったり口が閉まらなくなっているような感じです。
 
 

口腐れ病の兆候と原因

まず兆候としては、一般的に海水魚が病気になった時と同じでした。今まで白点にかかっても餌だけはパクパク食べていたのに、急に餌への反応が鈍くなったんです。
 
  • 餌食いが悪くなった
  • 巣からなかなか出て来なくなった
 
今にして思えば生命に危険を感じているということだと思います。
 

目の前の餌を食べそうで食べないジョーフィッシュの動画

動画を撮りました。底砂の左手前にある茶色っぽい粒は落ちた餌です。こんな巣の前に落ちて来る餌に反応しないなんてかなり異常です。
 
動画ではチラチラと餌を見てますよね。飢えているんです。しかしこんな目の前の餌を取りに行くのも躊躇する状態です。
 
ちなみに撮影し終わって少し目を離すと砂煙が上がってエサは消えていました。電光石火の速さで食べて巣に戻ったと思われます。
 
 

原因は局所的に細菌の発育適合ポイントが出来たことか?

滑走細菌は普段から水槽内にいる細菌だと言われます、その増えやすい条件を再度書きますと以下の通りです。
 
  1. 水温30度
  2. pH7(中性)
 
どちらもあり得ません。千日の水槽は海水温25度弱です。30度なんてあり得ません。そんな水温になったら病気になる前に生体は全滅するでしょう。
 
pHは測っていませんがハードコーラルを飼育出来る8.0位のアルカリ性のはずです。でなければまずサンゴが調子を崩します。
 
千日は局所的にそのような場所が出来たと推理しました。つまりジョーフィッシュの巣の付近に局所的にそのような環境が出来たとしたら?
 
 

原因1 水流の弱い部分に位置するヒーター

下の図のように、ヒーターの場所は水流の流れの終着点です。ヒーターによって温められた水はその辺りに留まりやすいんですね。
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その上、下の写真のように、この辺りは海藻がたくさん繁茂しています。更に水流が流れにくくなっているんです。
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なので、ジョーフィッシュの巣のヒーター近くは常に30度とまでは行かなくても、他の場所よりも少し高い温度である可能性が高いです。
 
ヒーターが作動する冬場は特に…
 
 

原因2 ヒーターの近くで枯れた海藻がpHを下げて滑走細菌が増えやすい環境となった

淡水水槽でpHを下げる時にマジックリーフなどの枯葉を入れたりしますよね。
 
海藻がヒーターの近くに繁茂してます。これらが枯れてヒーターの上に積もっていったとしたら?さすがに小さな水槽で、場所によってpHが変わるとは考えにくいですかね?
 
しかし枯れた海藻の中はpHが低いかもしれません。なにしろ、細菌ですからミクロの世界です。
 
 

原因3 ハードチューブの自切も滑走細菌が原因で、これを足掛かりにさらに増えた

思えば、ハードチューブが自切してしまったのも、この滑走細菌が原因かもしれません。まず最も弱い生体が侵され弾みがついた細菌がジョーフィッシュを襲ったのかもしれませんね。
 

原因4 ジョーフィッシュの巣作りの過程で口の小さな傷から感染した

ジョーフィッシュはその大きな口で穴を掘り、砂利や小石を運び、自分の巣を作ります。その過程で小さな傷が口に出来るのは十分に考えられることです。

その傷は巣の近くで増えた細菌の感染の入り口になったかもしれません。

さらに近くから、口唇のあたりのクローズアップ動画を撮影しました。
よく見ると、口のあたりが心なしが全体的に後退しているように見えます。こんなになるまで気づかなかったなんて…ごめん。
 
 

口腐れ病の原因である滑走細菌の治療

目に見えないですので、全て仮説ですが電子顕微鏡もありませんし、この仮説に基づいて対応策を考えるしかありません。
 
薬は使いません。
 
ペットショップで売ってる薬で薬浴させる方法がネットでは出ていますが、芳しい結果にはなっていません。滑走細菌が原因とすれば、抗生物質(オキシテトラサイクリン)が有効なんです。そんな薬は手に入りません。
 
捕まえる過程で生体を弱らせ、傷つけ、病気を悪化させるだけだと判断しました。餌食いは悪くなりましたが、ピンセットで巣の近くまで餌を持っていくと食べます。まだ彼には生きる意志があるんです。
 
箇条書きします。
 
  1. 原因と考えられるヒーターの位置を水流の速い所に変更する
  2. 宿主になっていそうなハードチューブの遺体?を処分する

  3. 餌は1日か2日に1回ピンセットで与える

  4. 1週間に1回水換え

ハードチューブは自切してから数カ月、鰓冠を出していません。生きているのか死んでいるのか分かりませんが、もしかしたらと思って残していました。

しかし、今となってはそうも言ってられません。昨日、処分しました。 

我が千日のブログのブログアイコンであるイエローヘッドジョーフィッシュ…何とか持ちこたえて欲しいです。

以上、千日のブログでした。