カクオオトゲキクメイシの突然の不調と超回復の原因を突き止めました!
前回のあらすじ
4月1日に急に調子を崩すカクオオトゲキクメイシ。しかし他のサンゴは問題ナシ。そして原因のわからないまま翌日にはけろっと回復。何故調子を崩したのか?何故回復したのか?迷宮入りのまま事件は解決と思われたが…
お巡りさんこいつです!
巻貝の一種でマガキガイといいます。これは千日がわざわざショップから購入し、水槽に導入している生体です。海水水槽をやっている方なら水槽の掃除屋としておなじみの貝ですね。
水槽の掃除屋さん(マガキガイのメリット)
底砂を食べて掃除する海水アクアリウムの掃除屋マガキガイ
①生きた掃除機
マガキガイは底砂に溜まる餌の食べ残しや糞、コケなどをその掃除機(ゾウの鼻)のような口から砂ごと食べて、消化できない砂を排出し、底砂を白い状態に保ってくれます。
②底砂をかき混ぜ硫化水素の発生を防ぐ
マガキガイが底砂の上を移動する時に砂の表面を動かします。これによって砂の同じ面が照明の光を受け続けることが無くなり、苔が生えにくくなる効果があります。
また、マガキガイは砂に潜ります。砂に潜ることで底砂がゆっくりとかき混ぜられ、底砂の中の水を循環させる働きがあります。
底砂の中のすみずみに酸素が供給されるので、底砂の中の水が腐るのを防止します。底砂の中に止水域が出来ると、そこに硫化水素という有毒ガスが発生します。
何かの拍子にこの硫化水素が水槽内に漏れ出すと、生体は全滅します。マガキガイは底砂を敷いた水槽には無くてはならない存在なんです。
レイアウトクラッシャー(マガキガイのデメリット)
そんなマガキガイにもデメリット(B面)があるんです。底砂の上だけ掃除してくれたら良いんですが…
彼らはライブロックの上にも出張し、サンゴをどかしたり、不安定な置き方をしているライブロックの岩組みを崩したりすることがあるんです。
マガキガイって寄生獣のミギーに似てると思いませんか?
マガキガイは別名『ヤットウ貝』『チャンバラ貝』とも呼ばれます。その由来は刀のように尖った外套膜(がいとうまく)を刀のように振り回す様から来ています。
お尻の方に尖ったモノが見えます
ひっくり返ってもこれを砂に突き刺したり岩に引っ掛けたりして跳ね上げ自力で起き上がります。その時の動きは結構速いです。
尖った外套膜を砂に突き刺すマガキガイ
この後、一瞬で跳ね上げて起き上がりました。カタツムリのような(同じ種ですから当然ですが)目玉といい、身体に『刀』を持っている所といい、意外な素早さといい、寄生獣のモデルとして最も近い地球上の生き物です。
では謎解きと行きましょう
思えば4月2日のコハナガタサンゴのズッコケもマガキガイの仕業だったのかもしれません。
きっかけは昨日の夜、コハナガタサンゴがライブロックから転げ落ちました。
元、コハナガタサンゴの位置に居たのはコイツです。現行犯の証拠写真をバッチリ撮影しました。
思えばこれが大きなヒントだったんですけど、その時は気付かないでそのマガキガイを捕まえ、底砂にリリースしました。
少しして、またカクオオトゲキクメイシのオレンジが少し縮み出しました。
おかしいナ?と思ってすみずみまで見ると…カクオオトゲキクメイシを乗せているライブロックの下辺りに隙間があり、マガキガイが顔を覗かせてその隙間から出ようともがいているではありませんか!
マガキガイが隙間で動く度に、ライブロックがグラグラと小刻みに揺れていたのです
調子を崩したオレンジのコハナガタサンゴはそのライブロックの先っちょにレイアウトしてましたので、シーソーの先の方に乗っているような状態になっていたんですね。
変化の無かったメタリックグリーンのコハナガタサンゴはシーソーの支点近くだったので揺れが小さく、ストレスにならなかったのでしょう。
これで隣あったサンゴのうち、片方だけ調子を崩した謎、すぐに復活した謎が解けました!
真実はいつもひとつ!
身体はオッさん、頭脳もオッさん、その名は名探偵千日!
読者様に愛想を尽かされる前にここまでにしておきます。
原因不明のサンゴの不調についてはマガキガイによるグラグラ攻撃を疑ってみましょう。
長くなりましたのでこの対策は次回のブログに書きたいと思います。