水換え不要という売り文句のウソ
アクアリウムを趣味にしていて、一番面倒なのは何と言っても水換えです。この作業が楽しいと言う人はあまり居ないと思います。
そして、ホームセンターなどのアクアリウムコーナーに行くと必ずと言って良いほど置いてあるのが『水換え不要』や『水換えは半年に一回』などとと謳った画期的商品です。
水換え不要は初心者をターゲットにした紛れもないインチキです
そしてこのような商品は、店の良し悪しを測るバロメータとしては極めて有効です。このような商品を陳列している店の生体を買わないようにすることで以下の失敗をある程度未然に回避できます。
- 買って来た魚がすぐ星になってしまった
- その魚が持ち込んだ寄生虫で他の健康な魚も病気になってしまった
- ショップで購入した生体と一緒に持ち込んだ厄介物が水槽内で爆発的に増殖した
どんな物にでも一定のバリューがあります。
生物にとって飼育水は?
水中の生物にとって、特にサンゴにとって飼育水は身体そのもの、と言うのが私の考え方です。
下の写真の右半分に写っているコハナガタサンゴの照明点灯時と消灯時の大きさの違いに注目して下さい。点灯時には飼育水を体内に取り込み消灯時の2倍から3倍に膨らんでいます。
照明点灯時 2014年8月10日撮影
照明消灯時 2015年1月16日撮影
サンゴにとって周囲の水と身体の境界は人間は当然のこと、魚やエビよりも曖昧なんでしょうね。
また、魚やエビだってその境界は人間よりも曖昧です。
水槽の水換えは、比喩的表現をするならば輸血に似ていると言うのが私の見解です。手前味噌ですが、生体を飼うというより水を飼うのがアクアリウムなんだと思います。
水換えによって体内の血液を新鮮に保つ
従って、水換えというのは所謂『掃除』のようですがイコールではありません。自然界であれば常に新しい水が供給されますが、水槽のように閉じた世界では、それがありません。
生体が一度取り込み、排出した水は既にその生体が必要とする成分を吸収した残りカスです。定期的に新鮮な水を供給することが、生きて行くのに必須となるのです。
輸血のようなものと考えれば、温度や比重を合わせたり、一気にドバッと注いだらダメっていうのも頷けますよね。
なお、淡水魚は割と大丈夫です。進化の過程で朝晩の温度差、増水濁流による水質変化に対する耐性が備わっています。優しくやってあげるに越したことはないですが。
水換えのその他の注意点
- 温度合わせのために、湯沸し器のお湯を使わない。湯沸し器の管には銅が使われており、これを繰り返すと飼育水内に銅イオンが過剰となり、濾過バクテリアが減ります。十円玉で排水口のヌメリが取れる原理です。
- 同じ理由から、朝一番の水は使わない方がいいです。夜の間に溶けた金属が水道水に溶けこんでいるからです。
今朝エビが脱皮しました
よく水換え直後に脱皮することが多いですね。(今回の脱皮は水換えの一日半後位)脱皮直後のエビは柔らかく、体内に取り込まれる水が清浄なタイミングを見計らっているのかもしれません。